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キリンアンドコミュニケーションズ株式会社
河野真矢子社長
「今より半歩でも前へ」女性が企業の中で生き生きと活動する。
女性社員の心の障壁を折り除くマインドセットのためのCTDの活用をお話いただきました。
KWN推進委員会のメンバーが中心となって活動を企画し運営する、全女性社員を対象とした自主的な組織です。
布施 本日はキリンアンドコミュニケーションズ株式会社の河野社長に、キリンウィメンズネットワーク(KWN)での活動の概要と、その中での弊社のトレーニングについてお話をいただこうと思います。
はじめに、KWNの活動について教えてください。
河野 2006年10月にキリン版ポジティブアクションが制定され、その中で、多様性推進の第一歩として女性社員の活躍支援がうたわれました。2つの方向性が示され、1つは人事部や事務局が中心になって人事諸施策やその運用方法を見直すこと、もう1つは女性社員の横の連携を図ることを主目的としてネットワークを作っていこうということで、KWNが創設されました。KWNは、KWN推進委員会のメンバーが中心となって活動を企画し運営する、全女性社員を対象とした自主的な組織です。
※ 2006年の10月にポジティブアクションとして「多様性を推進していきます」との宣言が社長から出て、その一歩目として、女性の活躍を応援しようということからKWNが初まりました。
一番印象的だったのは、受講者の聞く態度がどんどん変わっていったことです
布施 女性の活躍を目指すために、組織ができたのですが、
その中で弊社にトレーニングを依頼することになったきっかけを教えてください。
河野 トップがコミットメントして、トップダウンで制度改正や組織風土を整えていくことも重要ですが、女性社員が自ら意識を向上させるのも同じくらい大切であるという議論がありました。そこで、「心」について語るという御社の講演会を推進委員会のメンバーでオブザーブにいきました。それが御社と出会ったきっかけです。
布施 ご覧になっていかがでしたか。
河野 当時、私は人事部で人材育成を担当していたので、講演会やトレーニングの経験は豊富だったのですが、御社の講演会のパワーには圧倒されました。一番印象的だったのは、受講者の聞く態度がどんどん変わっていったことです。最初はややのけぞって座っている人もいましたが、最後は身を乗り出して聞いている人がほとんどになっていました。自分事として聞いているというか、表情がどんどん変わっていきました。受講者の心に届く講演だったという印象です。
布施 河野さんはやはり、受講者の顔に注目して観られているのですね。そこをしっかりと確認しているところあたりがさすがだなと思います。
いつの間にか自分から主体的に講義に参加出来るようになっているというところを観て頂けるとうれしいです。
河野 人材育成の仕事をしていたので、講演の内容がどんなに論理的であっても、受講者に届くか届かないかは、その講師によって大きな違いがあることを経験していました。その点が非常に優れていると思いました。
「自分」で変えられるのは「自分」だけであり、「自分」が変わることで、周りに影響を及ぼそうという意識を持つことが大切だと感じました
布施 ありがとうございます。
トレーニングでは、「元気になる」などいろいろとキーワードが出てきましたが、
KWNが目指すべき方向性へ向けて、弊社のトレーニングのどのような点を期待していましたか。

河野 自分のパフォーマンスに影響を与えるのは、「環境」「経験」「他人」「自分」と教えていただき、「自分」で変えられるのは「自分」だけであり、「自分」が変わることで、周りに影響を及ぼそうという意識を持つことが大切だと感じました。また、それを理解するだけでなく、実践できるようになることを期待しました。なるほどそうだなと思うことはいろいろあるのですが、実践への行動をどう一歩踏み出すか、それが重要です。そのために、「自分」で変えられるものと変えられないものを腑に落とし、そこに集中することが、一つの解決策になるのではないかと思いました。会社の中の「環境」というと、人事諸施策などはポジティブアクションで見直す方針が明らかになっていましたので、やはり女性社員自らの意識や行動が大切になってくると考えていました。
布施 「半歩でもいいから、前へ。」ですよね。私たちがトレーニングしたいことを明確に示しているフレーズでした。最初に推進委員の方々が集まってミーティングしたときに、「半歩でも前へ」のためのきっかけがほしいとおっしゃていたので、それならうちのトレーニングが合うなと思っていました。みんなの取り組むに当たっての姿勢が違うことも良かったですね。
河野 第1期の推進委員は8名でしたが、バックグラウンドや考え方が様々で、ベクトルを合わせるのはほんとうに大変な作業でした。その中から、「半歩でもいいから、前へ。」のキャッチフレーズが出てきたのです。
他人や会社のためではなく自分のためなのだと気づきました
布施 実際、全国各地でトレーニングを行いましたが、受講者からはどのような声が多かったですか。

河野 まず、全女性社員の半数が集まるKWN設立総会を開催し、会社も変わっていく、だから私たちも「半歩でもいいから、前へ。」行こうと伝えました。ある程度皆に届いたのではないかと思います。事後アンケートでは、「会社が変わることに期待を持った」と答えた人が8割以上で、「自分自身が変わろうと思った」と答えた人が約9割いました。意識は高まってきたので、次はそれをいかに実践に移すかです。毎回、全国の社員を一同に集めるのは難しいので、全国を数ブロックにわけて、地域会を行いましょうということになりました。そこで御社のトレーニングを導入させていただきました。
そこではいろんな意見や感想がありましたが、チャレンジすることの意味、「半歩でもいいから、前へ。」進むことの意味は、他人や会社のためではなく自分のためなのだと気づきましたという声が多く聞こえてきました。さらに、今に生きるということの大切さ、今に生きようと思いましたという感想もありました。
右脳の活性化のトレーニングでは、何故チャレンジすることが大切なのかを理解できました。セルフコンセプトにとらわれないため、不安や恐れを乗り越えてチャレンジすることを学びました。キリングループは3C(チャレンジ・コミットメント・コラボレート)を行動の基本姿勢にしているのですが、その中のチャレンジの意味が腑に落ちたというコメントも多かったです。
布施 あとは自分ツールですかね。
河野 そうです。「口に入る食物で体はつくられる。耳に入る言葉で心はつくられる。」は印象的でした。そして、耳に入る言葉は、他人の言葉より、自分自身がしゃべった言葉や頭でイメージした言葉が何よりも多いので、自分が使う言葉を大切にする、ポジティブにすることに気づきましたね。
布施 自分ツールも「態度」や「言葉」など、すぐ理解できるところから最後に思考に行きます。「思考したことが行動につながる。」ということが伝わればいいなと思ってトレーニングをしました。
思考も積み重ねたものがあるので、変えるのも大変だったのではないでしょうか。
河野 そうですね。でも少しずつですが、ポジティブに変わり、「半歩でもいいから、前へ。」を実行できる人が増えてきているように思います。自分から行動を起こすためのきっかけをいただくことが出きました。そうすると今度は、自分だけではなく周りの人の「半歩でもいいから、前へ。」を支援できる人を増やしたいと思います。トレーニングで習ったコーチ力のステージになってきています。
布施 全国で地域会を行った後に、推進委員とサポーターのメンバーがみんなで復習するためのトレーニングを行いましたよね。
河野 KWN活動を展開していくのに、推進委員8名だけではなく、各ブロックのサポーターを作ろうということになりました。サポーターは全国で約60名集まりました。その推進委員とサポータが集まり、KWNの活動を広げていくための合宿を開催しました。2日間の合宿でしたが、1日目に御社にトレーニングを行っていただき、2日目に今後の方針や地域会の活動プランを話し合いました。
翌日の打ち合わせも活発で前向きな討議ができました
布施 地域会の時は講義形式が多く、思考にフォーカスしたトレーニングを行いました。この時はワークショップ中心にやりましたね。いかがでしたか。
河野 実際に体を使い、体験を通して自分が感じることをまず行い、その後に理論の講義がありました。そうすると自分の経験が元になっているので、腑に落ちやすかったですね。1日目のトレーニングでとてもポジティブ思考になっていましたので、翌日の打ち合わせも活発で前向きな討議ができました。翌日への影響も大きく、とても有意義なトレーニングでした。
布施 その時に、「フロー」の話もしましたね。事務局からは、「元気にして下さい」と要望を受けていました。
フローを体感するためのゲーム行ったのですが、本当に短い5分くらいですが、フローを体験出来たのではないでしょうか。
河野 そうですね。フロー状態を体験することによって、自分自身がフローでいることの心地良さ、組織がフローでいることの大切さがわかりました。それが、自分のそして組織のパフォーマンスに繋がります。それが、翌日の討議の場へも影響を与えることになったのだと思います。
布施 翌日も盛り上がったのですね。
会議の雰囲気は大切ですよね。全員が共通の目的に向かっている会議とそうでない会議がありますよね。
河野 キリンでは「自由闊達」も大切にしています。でも、自由闊達であることは、実際には難しいですよね。そのヒントがあのゲームから得られた気がします。
布施 一度、加藤社長がトレーニングをオブザーブされた事がありました。
河野 ポジティブアクションやこのKWNの活動は加藤社長が自ら率先して行動してくれています。、何か新しいことをやるときは、必ずオブザーブしてくれます。
布施 オブザーブされての反応はいかがでしたか。
河野 オブザーブ中も非常に楽しんでいた様子でしたし、オブザーブ後に加藤社長とお話になられたことがありましたよね。「チャレンジ」や「自由闊達」などについてお話をされていたことを記憶しております。
「ゆらがず、とらわれず」を毎日意識しています
布施 こうやってトレーニングを続けてきたことで、皆変わってきましたね。大変素晴らしいことです。
河野さんご自身はいかがでしたか。
河野 ポジティブシンキングや前向きでいることが自分自身のために大切だということがよくわかりました。今は社長としていろいろな場面で、「まずは、目の前のことを一生懸命やることが大切」、「今に生きることの大切さ」などを話しています。今に集中しないと、次にはつながらないですし、何かいいことを呼び込めませんから。
フロー状態をあらわす言葉としてよく使われる「ゆらがず、とらわれず」に、私自身は「あきらめず」を足して、デスクトップに貼っています。「ゆらがずは、ポジティブ思考」「とらわれずは、チャレンジ精神」「あきらめずは、持続性」を意味していると思います。毎日意識していますね。
布施 弊社のトレーニングは心の重要性にフォーカスしています。
このトレーニングを実際に受講して、企業に取り入れるメリットなどは感じられましたか。
河野 仕事を進めて行くにはスキルはもちろん大切ですが、マインドとスキルが両方あってこそ、結果を出せると思います。このバランスが大切です。バランスがとれた人事育成が長期的にみても結果につながると思っております。
布施 スキルは目に見えるので鍛えやすいですよね。でも心は見えないので、どうしても鍛えにくくなります。弊社のトレーニングを受講して、心のトレーニング方法はご理解いただけましたか。
河野 もちろんです。チームでトレーニングを受けていると、持続性、続けることの大切さを痛感しました。同じ事を意識している人が周りにいると、日常でも心についての会話ができるので、続けていきやすいですね。
自分はこんなこと思う人だったのかと自己理解が深まりました
布施 実際のトレーニングで河野さんの印象に残っているものはありますか。
河野 私個人としては、ケースステディですね。
布施 ゲーム形式で真剣に討議したり、「SHIPゲーム」みたいなゲームはマイチームとして、自分事で話すということを実践しているかが大切です。自分ごとで取り組むことが非常に気持ちいいです。真剣ではなく、他人事で取り組んでしまうとつまらないですし、フローにもなれません。やはりマイチームになったほうが、会社がいいだけでなく、自分自身の生産性も高くなるので、良いことであることに気づいてもらいたいですね。
フローになれるという良さがある。
河野 主体性を持って取り組みましたので、自分はこんなこと思う人だったのかと自己理解が深まりました。また互いの意見を尊重して受け入れることが大切だということにも気づきました。特にコーチ力のケーススタディが印象深いです。
布施 二人のコーチのケーススタディですね。
河野 二人のコーチが別のアプローチで熱意をもってコーチしている事例を聴き、すごいと思いました。また、何を目指しているかで、目標によって、教え方が違ってくることがわかりました。とにかく、ケーススタディには皆新しい発見があります。ケーススタディ後の討議では、同じものを見ているのに、どうしてこんなに皆が考えていることが違うのだろうかと思いましたし、その違いから新たな気づきもありました。
布施 ダイバーシティの要素も含まれていて、目指すべき方向性、ベクトルが合っていたとしても、違う意見が出てくることがわかると、その組織や会議は成長していきます。
スポーツなど仕事とは違った題材で議論することで、自分を客観的に見ることが出来るので、非常に良いトレーニングになると思います。
弊社のトレーニングを導入していただき、約2年経ちますが、まだまだ実際に直接受講された方はグループ全社員を考えればまだほんの一握りです。周りの方々への波及効果はありますか。
河野 それは既に、出てきていると思います。
私自身も、推進委員も周りに広げていこうと思って活動しております。
現在、私が勤務している会社は、従業員数は約300名ですが、本社には14名しか在籍しておらず、大半が全国各地の工場での勤務となっております。ですので、月1回紙ベースで私からメッセージを送っているのですが、1ページは現況や今後の仕事について、2ページ目は私が大切にしていることを<おまけ>として掲載する構成にしています。<おまけ>には、教えていただき共感したことなどを載せさせていただいております。
各事業所にいくと、その<おまけ>に対する反響が多いので、それを題材として社員との会話も増えました。
布施 とても素晴らしいですね。
どんどん使って、今後もフローカンパニーへ向けて活動して下さい。
本日はありがとうございました。
(敬称略)


